現在、私たちの生活に関わる機械類のなかには、自動化・省力化のために「シーケンス制御」(シーケンサー/PLC)が用いられていることが多々あります。例えば、電気洗濯機や電気冷蔵庫といった家庭用電気機器。あるいは自動販売機、そして信号機。それ以外に、工場やビル、発電所や変電所でも使われています。
「シーケンス制御」とひとくちにいっても、スタートとストップを繰り返すだけの簡単なものから、条件に応じて信号を順次処理していくような複雑なものまでさまざま。こちらでは、機械の自動化・省力化には欠かせない、シーケンス制御の概要についてご説明します。
シーケンス制御とは、「あらかじめ定められた順序にしたがって、制御の各段階を逐次進めていく制御(※)」のこと。わかりやすく言うと、はじめに指定した命令を自動で処理していくための仕組みのことです。このシーケンス制御を用いることで、あらゆるものを自動化・省力化することが可能。工場の産業機械などだけでなく、家電製品を中心に一般家庭にも広く普及しています。
※日本工業規格(JIS)C0401の定義による
シーケンス制御をより理解するため、実際に電気洗濯機を例に挙げ、その働きを見てみましょう。
洗濯機を動かすために私たちがすることは、洗濯物をなかに入れて適量の洗剤や柔軟剤をセットし、スタートボタンを押すだけ。あとは洗濯が終わるのを待つだけですが、その間に洗濯機の内部では、シーケンサー(PLC)によって以下のような処理を順番に行っているのです。
- 洗濯物を入れて洗剤をセットし、スタートボタンを押す
- 1. 水道につながっているバルブを開き、給水を開始する
- 2. 決められた水量が洗濯槽にたまったらバルブを閉じる
- 3. 洗濯処理用のモーターを始動させる
- 4. 設定された洗濯時間が経過したらモーターを止める
- 5. 排水溝につながっているバルブを開き、排水する
- 6. 排水完了後にバルブを閉じる
- 7. 再度給水を開始し、設定された水量に達したらバルブを閉じる
- 8. モーターを再度始動させ、すすぎ処理を開始する
- 9. 設定されたすすぎ時間が経過したらモーターを止める
- 10. 排水溝につながっているバルブを開いて排水開始
- 11. 排水完了後にバルブを閉じる
- 12. モーターを再度始動させ、給水しながらすすぎ処理(2回目)を行う
- 13. 排水溝につながっているバルブを開いて排水開始
- 15. 排水完了後にバルブを閉じる
- 16. モーターを始動させ、脱水処理を行う
- 17. 設定された時間が経過したら脱水完了。モーターを停止させる
- 18. 終了音を鳴らして洗濯完了
このような複雑な手順を、たった数回のボタン操作で実行できているのは、シーケンス制御のおかげです。このすごさがおわかりいただけたでしょうか?